ぐるぐるぐるぐる

これで良かったんだ
これで諦められる
これでラクになれる
これで私は前に歩き出せる
これ以上彼に執着する必要はない
通勤途中の電車の中で自分に言い聞かせる

あの人は最初から最低な人だった
あの人は最初からずるい人だった
あの人は最初から優柔不断だった
あの人は最初から甘えすぎだった
あの人は最初から全てのことから逃げてばかりだった
彼の悪いところを並べまくった

私にはもっとステキな人がいる
私にはもっとふさわしい相手がいる
私には新しい出会いが待っている
私には笑顔が似合う
私にはもっと幸せな人生が訪れる
明るい未来を思い描いてみる

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本当に良かったのかな？
本当に諦められるのかな？
全然ラクになんかなってない
前に進むどころか後ろを見てる
執着かもしれないけど彼がやっぱりすきみたいだ
帰宅途中の電車の中で愕然とする

あの人は本当は優しい人
あの人は本当はとても温かい心を持ってる
あの人は人並みの弱さを持っていただけ
あの人は寂しくて仕方がなかったんだよ
あの人はちょっと現実を受け入れるのが恐かっただけ
みんな、そんなときもあるよ・・・

私を好きになってくれる人がいるとしても
私を大切にしてくれる人がいるとしても
今の私には新しい出会いなんていらない
彼以外には誰にもなんにも感じない
強がって笑ったってそんな笑顔じゃ意味ない
可能性のない彼との未来を捨てきれずにいる

ぐるぐるぐるぐる
おなじところを回り続ける
ぐるぐるぐるぐる
おなじことを考え続ける
ひどく疲れてベッドに倒れ込む
そして思う

『もう考えるのはやめよう』